古着物を未来へつなぐ循環プロジェクト「engimono」。環境・福祉・文化を結ぶ新しい社会モデルを燕市から発信。

なぜ着物は「売れない」のか?買取市場の構造的問題

なぜ着物は「売れない」のか?買取市場の構造的問題


みなさん、こんにちは。前回は「年間どれほどの着物が廃棄されているか」という、少し胸の痛む現状についてお話ししました。

「そんなに着物が捨てられているなら、買取業者に売ればいいのでは?」

そう思われる方も多いかもしれません。実際、着物買取のチラシや広告はよく見かけますよね。しかし、いざ相談してみると「値段がつかない」「引き取りを断られた」という経験をされた方は少なくないはずです。

あれほど高価で大切だったはずの着物に、なぜ価値が残らないのか。今回は、着物買取市場が抱える構造的な問題について整理してみたいと思います。

なぜ買取価格は「崩壊」しているのか

着物の買取価格が驚くほど低い、あるいは値がつかないのには、大きく分けて3つの理由があります。

  1. 「需要と供給」の圧倒的なバランスの崩れ
    着物を着る人が減り、中古市場には「売る人」ばかりが溢れています。市場にモノが溢れている以上、価格が下がるのは経済の必然と言えます。
  2. 管理と査定のコストが膨大
    着物は保管状態や寸法(サイズ)によって価値が大きく変わります。専門知識を持った査定員が、一枚ずつ丁寧に広げて確認するコストを考えると、買い取っても利益が出ない着物が多すぎるのです。
  3. 「証紙(産地証明)」がない着物の評価
    特に昭和期に大量に作られた着物は、ブランド名や証紙がないものが多く、専門家でも「高級なものか、そうでないか」を判別するのに時間がかかります。そのため、業者としてはリスクを避けるために一律の低価格、あるいは「買取不可」とするケースがほとんどです。

「売りたい」高齢者と「買えない」業者の板挟み

現場でよくお会いするのは、ご自身が大切にされてきた着物をご高齢を機に手放そうとされている方々です。「これだけ良い着物なのに、どうしてこんなに安いの?」という悲痛な声は、決して珍しいことではありません。

しかし一方で、業者側にも「在庫として抱えても、次に売れる見込みがない」という切実な事情があります。双方が「価値あるもの」だと分かっていても、既存の市場という仕組みの中では、その価値がどうしても消滅してしまうのです。

廃棄でも売却でもない「第三の選択肢」

この「買取市場の構造的な限界」に直面したとき、多くの着物はそのまま廃棄の道へと進みます。 けれど、本当にその着物たちは「価値がないもの」なのでしょうか。

私たちは、そうは思いません。

  • 廃棄する: 罪悪感と文化の喪失。
  • 売却する: 買い手がつかず、結局行き場を失う。

そこで engimono が提案するのが、この二つに続く「第三の選択肢」です。売却して現金化することを目指すのではなく、その生地が持つ「素材としての可能性」や「歴史」を別の形に変えて、現代の暮らしの中に循環させていくこと。

私たちは、着物を単なる「衣類」として売るのではなく、手仕事の素材として「補完」します。市場価値という枠組みからこぼれ落ちてしまった着物たちを、もう一度、新しい価値あるものへと繋いでいきたいと考えています。

タンスに眠る着物に、もう一度「新しい物語」を。

「売れないから仕方ない」と諦めてしまう前に、一度、私たちの活動を通じて何ができるか、一緒に考えてみませんか?

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